プライシング

値付けって、ある程度成熟した市場を抱えるメーカーの製品だと競合比較とかユーザー調査なんかでだいたい決まってしまうからあんまり考えてもしょうがないんだけど、新規事業だったら自由度は割と高い。


価格弾力性が小さい(高い値付けでも需要が減らない)なら「スキミングプライシング」(初期に高価格を設定)、価格弾力性が大きい(価格を下げると需要が増える)なら「ペネトレーションプライシング」(安値で市場拡大を狙う)といいうようで。日本のメーカーだと後者の成功体験が多くて、戦略もそれに沿ったものになりがちだけど、高付加価値である証はスキミングプライシングできるかどうかと思ったり。高くても売れるってのはそれだけカスタマーバリューが高いわけですから。


それから、複数の製品を組み合わせて値付けする「プライスバンダリング」というのがあります。メーカー品のPCに使いもしないソフトが大量に入っているあれです。自作PCやBTOで注文できるようになる以前は、高くてもメーカーPCを買いました(ピュアバンダリング)。そのうちPCパーツのモジュール化が進み必要なスペックのPCを選べるようになりました(ミックスバンダリング)。そしてPCそのものの価格が異常に下落したため、PCは移動媒体モデムのネット接続サービスの付随商品になりました(タイ・インバンダリング)>お勉強モードになってきました。


製品をシステム化して売り出したいと経営者は大抵思っているけどこれは広い意味でピュアバンダリングでしょうね。水平分業が進み、コモディティ化してしまうと顧客の基本要求を満たすだけの機能を持った製品に収束(洗練?)していきます。ピュアバンダリングできる時期に稼いでおかないと、投資の回収に失敗する可能性も高そうです。


プライシングの枠組みとしては「スキミングプライシング」と「ピュアバンダリング」でどう考えられるかが重要っぽいなという話でした。


iPhoneのように素晴らしい競争力があってもシェアを重視する(アプリケーションマーケット拡大のため)場合は安値で市場に導入します。

ドラクエ3のように誰もが発売日に手に入れたい製品であっても、在庫ソフトといっしょに販売すると「抱き合わせ商法(違法)」になります。これはドラクエをプレイしたいだけの消費者に、明らかな損失を与えているからです。(あくまでシステムとして同梱する必要がある。)

*オタク向け限定グッズや、財団法人日本規格協会制作「日本の自動車JASO規格DVD-ROM版」みたいな稀少品にも高い値付けがされますが、市場性がないため除外して考えたほうが良さそうです。(入札やオークションと同類に考えたほうがよくて、その場合の価格戦略は別になります)

*ですが、周辺機やノベルティ付のパック販売は立派なミックスバンダリングなので、積極的に検討すべきかと思います。